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| ハロアル新聞10月号より

ハロアル新聞10月号より

2017年12月1日 10:59 AM


「現地視察」

先月、関口先生、木本先生、加藤先生と共に来年2月に行われるハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの事前視察ためフィリピンに行って参りました。私自身14年目になるこの活動も何ら変わらないスラムの現状に唯々自身の無力さと虚しさを日々痛感してなりません。

2年前にドゥテルテ大統領が誕生し彼の政策の一つでもある麻薬撲滅作戦によって麻薬犯罪を犯した者には容赦なく処刑が行われ、その数、数千人とも言われていますがその中にはたくさんの政治家や著名人も含まれていてその際、政府との間で銃撃戦も発生しているそうです。それでも大統領の支持率は大変高く、私達と共にボランティア活動を支えてくれている現地スタッフの皆さんも彼を高く支持していました。その理由は、まじめで正直な人が働きやすくなったことが一番だと言っています。どういうことかというと今までのフィリピンは公人の汚職や賄賂などが当たり前に蔓延り警察とマフィアが裏では繋がっていたりとまじめな人が損をする社会の構図が出来ていたそうです。しかし現大統領はそういったことを一切許さない政策を断行し、悪者は社会から消し去る方法をとっているのです。世界からは人権的にどうかなど批判もありますが一度壊れた社会の仕組みを変えるにはこれくらいしないと変わらないのかとも考えさせられます。市街の景観ひとつとってもここ数年で一番綺麗に整備されていました。たくさんの路上生活者や不法占拠して暮らしていた人達の姿が激減していました。街の浄化作戦が政府主導のもと行われ、たくさんのスラムが解体され不法占拠とはいえ長年暮らしていた場所を一瞬にして退去させ街の浄化を進めているそうです。それらの甲斐あってかフィリピンの景気は上昇しているそうです。しかし、問題はこれだけでは解決しません。景気の上昇はより一層の貧富の差を生み、経済的に貧しい人達は更に苦しい生活を虐げられるようになるのです。今回我々が訪れた来年度活動エリアもまさにそれらの歪を集中的に受けている地区でした。

無数に張り巡らされた細い路地、今にも崩れそうな住居が上に上にと連なっています。何故なら非常に狭いエリアに他所から追いやられた住民たちが家を作るには誰かの家の上に張りぼての家を作らなければならないからです。汚水が流れ、悪臭が立ち込める路地を子供たちは無邪気に裸足で歩いています。所々家から電気の光がもれてきます。家の中を覗くと、三畳ほどの狭い部屋で家族が楽しそうにテレビを見ています。勿論この電気も町の中から住民たちが違法に引いてきたものです。日本人には到底考えられない世界がそこにはあり、子供たちが楽しそうにはしゃぎ回るこのスラムもまた「麻薬」や「犯罪」の温床になっていると思うと複雑な気持ちになります。

住民たちに「歯の治療をしたことがありますか?」と尋ねると、皆口々に「高くて受けたことがない」と答えます。「歯ブラシで歯を磨いていますか?」と聞くと「やったことがない」「何年も同じ歯ブラシを使っている」と答えます。そして皆一様に「是非、治療してほしい」「必ず来てください」と懇願します。スラムに流れる川の向こう側には沢山の高層ビルが立ち並びます。経済成長の裏にはいつの時代もこのスラムの人たちのように社会的に最も弱い人たちが更なる貧困の歪を受けなければなりません。しかし、その中でも貧しさを互いに助け合い、今を陽気に一生懸命生きる彼らの笑顔は、私たち日本人が失ってしまった何かを思い起こさせます。

あるスラムの子供に将来の夢を尋ねました。すると彼女は「私の夢は15歳まで生きること」と答えました。その地域では貧困のため3人に1人しか15歳まで生きることが出来ないのです。

どうか皆さん、「生きることが夢」と語る幼い彼らの笑顔のために今後ともハローアルソン・フィリピン医療ボランティアに御協力の程宜しくお願い致します。

 


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