いまにし歯科Blog
| 2016 | 10月

医療ボランティア現地視察

(2016年10月12日 12:57 PM更新)


先月の10日から14日まで現地統括責任者の私と栃木県から団長の関口先生、岡山県から器材担当の木本先生、愛知県から加藤先生の4人で来年2月8日~11日のハローアルソンフィリピン医療ボランティア現地活動の為フィリピンマニラへ視察に行ってまいりました。

 

今回は現地マニラロータリークラブから6つのエリアが候補として出されました。どこも大変貧しい地域で、13年間微力ながらこの国の人たちに携わってきましたが、何も変わらない劣悪な現状を見ると、命の平等の前に立ち塞がる人間の不条理に心を痛めるばかりです。それどころか今回は、就任したばかりの新大統領ロドリゴ・ドゥテルテの容赦ない麻薬撲滅戦争が日に日にエスカレートし、麻薬の売人や使用の疑いをかけられた人が殺害されたり、マニラ市内の浄化作戦としてスラム街が解体されたりしていました。現在射殺事件が急増していると聞きましたがその理由は、ドゥテルテ大統領が過激な手法で国内の麻薬取引を撲滅するという選挙公約を掲げ圧勝し、その公約を実行に移したためだそうです。2010年以降、犯罪件数が2倍以上になったと報告されているフィリピンでは、多くの有権者がドゥテルテ氏独特の安易なポピュリズム、そして厳しい制裁で国内の社会的、政治的問題が手っ取り早く解決すると評価し、期待しました。しかし一度築きあげられた社会を変えることはそんなに単純なものではありません。スラムを追われた人々はさらに劣悪な環境に虐げられ、そこで生まれる貧富の差はさらに大きくなり、経済的ゆとりのなさが人の心までも蝕んでいってしまうのです。こんな時いつも犠牲になるのは罪もない子供たちやお年寄りのような弱い立場の人ばかりです。スラムで生まれる子供たちは国籍を持ちません。ですからこの世に生きたという証がないのです。よって彼らがいかなる理由で亡くなったとしても何の問題も起こらないのです。

 

私達の活動は基本的に、全て現地の人たちの希望に応えることを大切にしています。私達自身が何かをしたいと申し出たり、求めたりすることはありません。歯ブラシ1本さえも買うことが出来ず、貧困の為治療を受けられず、虫歯の菌でさえ死に至るような劣悪な環境で生きる人たちの為にできるだけの事を尽くそうと思います。

 

今回初めて夜のスラムを見学しました。日が落ち、真っ暗なスラムの中をわずかな明かりを頼りに歩きました。大人一人が通れるような細い路地がまるで迷路のように入りこんでいます。私が足を止め、ふと家の中を覗くと、わずか3畳ほどの広さに8人の人たちが生活をしていました。中では直接電線から違法で盗み繋いだ薄暗い電球と小さなテレビを家族で楽しそうに見ているのです。その姿を客観的に見れば、狭く、不衛生でひどく可哀そうな光景に見えるかもしれません。しかし、私はその家族が一つのテレビに肌を寄せ合いながら楽しそうに見ている姿に、何故か、「幸せ」な気持ちを抱きました。私が覗いている事に気づくと気さくな笑顔で手を振ってくれます。毎年現地ではスラムの見学も行います。参加者の方々はあまりの生活の様子に皆さん心を痛めます。しかし、実はそこに、貧しくても私達日本人が物資的豊かさゆえに忘れてしまった本当の幸せの在り方が存在しているのです。現在のわが国では、親が子を殺し、子が親を殺すという大変信じ難い事件が急増しています。また10代の若者が数人で殺すつもりはなかったと言いつつ同じ10代の若者を殺害するという犯罪が起きています。世界第3位の経済大国でありながら、年間3万人もの自殺者がいるこの国で私は本当の豊かさとは何なのかということを毎年考えさせられています。

 

ボランティアとは必ず相手が存在します。そして一方通行ではありません。片方から片方への施しでもありません。私が思うボランティアとはそれぞれ持っているものが違う者どうしがそれぞれの持っているものを半分ずつにしてそれを交換し合うようなことだと思っています。奪い合えばなくなる、分け合えば余る。誰かの不幸の上に成り立つ幸せなど存在しません。これからも常に感謝の気持ちを忘れずこの活動を続けていこうと思います。

 

いまにし歯科診療所 院長 今西祐介


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