いまにし歯科Blog

謹賀新年

(2018年1月19日 9:54 AM更新)


院長手記

2018 謹賀新年」

 年頭に当たりまして、皆様のご健康と安全とを、心よりお祈り申し上げます。そして、「歯は命の源」~一生自分の歯で、予防に勝る治療なし~を皆様との共通の合言葉とし本年もどうぞよろしくお願い致します。

 診療所もお陰様で昨年無事1周年を迎え、他府県遠方からの患者さんも増えて参りました。患者さんお一人お一人の信頼と期待を裏切ることのないように今年も患者さんのためだけを考え、医療人である前に一人の人間として一生懸命すべてを捧げる覚悟で日々の診療に取り組んで参りますのでどんな些細なことであってもお気軽に何でもご相談ください。

さて現在、私達は今までにない深刻な危機を、幾つも抱えています。最も懸念される事態は、偶発的な戦争や核兵器使用と事故・地球の温暖化により増大する巨大災害・広がる貧困と不平等・我が国の絶望度を増す不健全な国家財政などなど数え上げればきりがありません。

そんな中でも一番の問題はそれらのことに対して私たちが無関心になり慣れてきていることにあると思います。地球は一つ、命も一つ、経済政策も必要ですが本当に私たちが大切にし、守って行かなければならないものを今こそ世界が一つになって大事にしていかなければやがて近い将来人類は滅びて行ってしまうと思います。誰かの不幸の上に成り立つ幸せなどあってはなりません、この時代に生きる全ての人が自分以外の誰かの幸せを思いやれる、そんな世の中になって欲しいと願います。

「夢は15歳まで生きること」これはフィリピンのスラムに暮らす子供が私に語ってくれた夢です。経済的に貧しい、極貧困層のスラムでの生活は11食が基本で成長期の子供たちの大半が慢性的な栄養失調により身体が小さくて弱く、免疫力がないため本来治る病でさえも重症化し命取りになることが少なくないのです。今から14年前、私は彼らの存在を知りました。それ以来自分に出来ることは何なのかを考え続けております。こんな自分にでも出来ることがあるのなら何でもしようと思っています。皆さんどうかハローアルソン・フィリピン医療ボランティアにご協力よろしくお願いします。この活動は4つの柱から成り立っています。

 

1.現地での歯科を中心とした無償の医療奉仕活動

2.歯ブラシ・タオル・固形石鹸などの物資の支援活動

3.世界の貧困問題を通じ、自らの生活を見直し「真の豊かさ」について考える

4.次世代を担う高校生の参加により、真の国際平和と国際責献について考えてもらう

 

 来月8日~11日に現地医療活動を117名の参加者とともに行ってまいります。その際使用する支援物資のご協力よろしくお願いいたします。ご家族、友人、会社の仲間の方々にも是非ともお声掛け頂けると有難いです。東京支部からも高校生と中学生の参加が決定しております。安全に活動ができるよう事前研修として現在診療室にて主に声出しを中心に頑張っておりますのであたたかく応援してやって下さい。

 最後に私事ですが2018年はチャレンジの年にしたいと思います。自身のラジオ番組も700回を超えました。ロックバンドSUREのヴォーカリストとして1998年にデビューし今年20周年を迎えますが約15年ぶりにバンドが再始動し新曲リリースに向け年始からレコーディングをスタートさせました。いつでも感謝の気持ちを忘れず、一度きりの人生に悔いを残さぬよう精一杯何事にもチャレンジしていきたいと思います。


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ハロアル新聞12月号より

(2017年12月1日 11:01 AM更新)


「2017」

 

2017年は皆様にとってどのような年だったでしょうか。出来たことや、出来なかったこと、出会いや別れなどたくさんのことがあったと思います。私は今月44歳になりますが1年1年が本当に早く感じるようになってきました。また、今年1年に起こった出来事を皆さんはどのくらい覚えているでしょうか。

まずは何といっても今年の1月のニュースと言えばアメリカの大統領にトランプ氏が就任したことでしょう。彼はそこで「米国第一主義」を宣言しました。その他様々な過激な言動によりどうなってしまうのか心配された方も多いと思いますがとにかく人も国も力でねじ伏せようという考えでは本当の平和は訪れないと思います。先進国と途上国、力のあるものが少しの我慢をして力のないものに歩み寄る姿勢が大事なのではないでしょうか。その点、世界で最も貧しい大統領と言われたウルグアイの元大統領のムヒカ氏の言葉は誠実で優しさがあり、たくさんの人の心に突き刺さるものがありましたが皆さんはどう感じたでしょうか。2月は金正男氏殺害事件が起こりました。毒物を顔につけられた瞬間の映像を当時何度も見ましたが公の場、しかも防犯カメラも何台もあるところでの犯行にこんなに簡単に人一人が殺されてしまうのかと思うとテロ事件は本当に防ぐことが出来るのかと誰もが心配になったと思います。3月はサッカーJリーグのレジェンド三浦知良選手が史上初50歳ゴールを決めました。彼の引退時期については色々と賛否両論ありますがここまで来たらとことん頑張ってほしいと思います。4月はフィギュアスケートの浅田真央選手が引退しました。彼女の魅力の一つにファンだけでなくプロのスケート選手達からもリスペクトされているということがありますが点数競技でありながらそれを超越した信念を表現して滑る姿に多くの人は感動させられたことでしょう。5月は北朝鮮が3週連続でミサイルを発射しました。普段聞き慣れない携帯電話からのJアラート音も今では少し慣れてきていること自体が本当の問題なのではないでしょうか。6月は「共謀罪」法が成立しましたが、野党からは究極の強行採決だと反発が起こりました。また、キャスターの小林真央さん、女優の野際陽子さんがお亡くなりになりました。改めて予防検診の大切さを私たちに投げかけてくれたと思います。7月は作曲家の平尾昌晃さんがお亡くなりになりました。8月はサッカーワールドカップ出場の切符をホームのオーストラリア戦勝利で代表イレブンが掴んでくれました。9月は衆院解散総選挙、陸上男子100メートルで桐生選手が日本人初9.98秒という記録を出しました。10月はカズオイシグロ氏がノーベル文学賞を受賞しました。11月は記憶にも新しいですが横綱日馬富士が暴行事件により引退することになりました。引退記者会見での伊勢ケ浜親方の涙がとても印象的で言いたいことが他にもあるようなそんな印象を受けた方も多かったのではないでしょうか。暴力はいかなる場合もこの時代許されるものではありませんが引退することでけじめを取るということでもないと思います。社会的に影響のある人の不祥事によるけじめの取り方は本当に大事だと思います。政治家にしてもそうですが辞めたんだからいいだろでは済まされないことがあると思います。そしてメディアにしても徹底的に追い込むときは追い込んでその後は知らんぷりな事が多すぎだと思います。一人一人の人生がその場限りのワイドショーのネタにされ本当に大切な部分からそれようが視聴率ありきの報道姿勢に我々国民もそろそろ待ったを掛けなければいけない時期なのではないでしょうか。

皆様、今年も残り1か月、くれぐれも事故など起こさぬよう体調管理を万全にし、良いお正月をお迎えください。いまにし歯科診療所も今年1年たくさんの患者さんに来院して頂き、私自身もお一人お一人の健康に携わることができたことに心より感謝申し上げます。今後もより一層の努力をし、皆様から更なる信頼を寄せていただけるようスタッフ一同精進して参りますので、何かお困りの際は何なりとお尋ねください。


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ハロアル新聞11月号より

(2017年11月1日 11:00 AM更新)


「霜月」

早いもので今年もあと2か月となりました。11月は霜月とも言い文字通り霜が降る月ということで朝晩の冷え込みも増してきましたね。先月末からの台風や長雨の影響もあって体調を崩された方も多いと思いますがくれぐれもお身体を大切にお過ごし下さい。風邪はもちろんですが特に気を付けてほしいインフルエンザですが予防接種も早めの受診をお勧めいたします。特に小さなお子さんや抵抗力の弱いお年寄りの方々にとっては重症化すると命に危険が伴うので注意してください。インフルエンザの予防ですが一番は手洗いうがいです。インフルエンザのウイルスは当然口から感染しますがすぐに感染するわけではありません。ウイルスが喉に付着し一定時間経過して感染するのでこまめな手洗いうがいは何よりも効果があるのです。そしてインフルエンザウイルスは湿度に大変弱いためお部屋の十分な加湿も効果があります。そして忘れていけないのはプラークコントロール(歯肉マッサージ磨き)です。十分なプラークコントロールが出来ている人とそうでない人のインフルエンザ発症率ではなんと10倍の差があるのです。その他、心筋梗塞は2.8倍、肺炎は2倍などプラークコントロールはただ虫歯や歯周病を予防するのではなく、直接命に係わる病気とも密接に関係していますので、歯磨きは命磨きと思って日々の予防に心がけてほしいものです。その際歯磨きのプロである歯科衛生士さんでも自分の歯磨きだけでは65%しかプラーク(歯垢)を除去できないことがわかっていますので、皆さんは是非とも歯科診療所へ予防のため通院してください。

その際、当院では1か月に1度の予防通院をお勧めしています。その理由はお口の中に取り残された細菌が悪さをおこす強い細菌に成熟する期間が約4週間と言われているため、たとえ磨き残しがあったとしても1か月に1度専門家によるプラークコントロールがしっかりできていれば大きな、ましてや自分の歯を失うなどのトラブルは絶対に起きないということから皆さんにお願いしているのです。歯ブラシもそのタイミング(月に1度)で交換していただけるとよいと思います。毛先の開いた歯ブラシでの歯磨きは効率が格段に落ちますし、当院でご指導させて頂いている歯肉のマッサージ磨きだと逆に歯肉を傷つけてしまうことがあるので道具の交換時期にも注意してくださいね。

さて、先月私は愛知県で行われた全国医療研究集会という学会に参加して参りました。年に1度全国様々な都市で行われるこの学会に14年連続、今年は東京都の代表として症例発表させて頂くことが出来ました。14年前、私の歯科医師としての師匠であります長野県北佐久郡御代田町にあります林歯科診療所院長の林春二先生に「祐介先生、我々歯科医師は常に勉強していなさい。勉強しない先生に診てもらう患者さんほど不幸なものはないぞ」そう言われ、始めはろくな資料まとめも出来ないで先生に言われるがまま学会に参加したことを思い出します。そして14年が過ぎ今年会場で私の症例発表を見てくださった先生から「良く出来ている、14年は嘘をつかないな」と言って頂きました。そして最後に「自分の患者さんに感謝しなさい。我々医者は患者さんがいるから医者としていられるんだから自分を頼ってくれる患者さんのために一生懸命勉強しなさい」といつもの一言・・・・

人は年を重ねるたび他人から何も言われなくなっていきます。ましてやもうすぐ44歳になる開業医になど誰も何も言ってはくれないことの方が普通です。そんな時、幾つになってもこうやって自分に対し咤激励してくださる師匠が居てくれることに心より感謝したいと思います。そしてこれからも皆さんに信頼、信用していただけるようにさらに精進して参ります。


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ハロアル新聞10月号より

(2017年10月1日 10:59 AM更新)


「現地視察」

先月、関口先生、木本先生、加藤先生と共に来年2月に行われるハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの事前視察ためフィリピンに行って参りました。私自身14年目になるこの活動も何ら変わらないスラムの現状に唯々自身の無力さと虚しさを日々痛感してなりません。

2年前にドゥテルテ大統領が誕生し彼の政策の一つでもある麻薬撲滅作戦によって麻薬犯罪を犯した者には容赦なく処刑が行われ、その数、数千人とも言われていますがその中にはたくさんの政治家や著名人も含まれていてその際、政府との間で銃撃戦も発生しているそうです。それでも大統領の支持率は大変高く、私達と共にボランティア活動を支えてくれている現地スタッフの皆さんも彼を高く支持していました。その理由は、まじめで正直な人が働きやすくなったことが一番だと言っています。どういうことかというと今までのフィリピンは公人の汚職や賄賂などが当たり前に蔓延り警察とマフィアが裏では繋がっていたりとまじめな人が損をする社会の構図が出来ていたそうです。しかし現大統領はそういったことを一切許さない政策を断行し、悪者は社会から消し去る方法をとっているのです。世界からは人権的にどうかなど批判もありますが一度壊れた社会の仕組みを変えるにはこれくらいしないと変わらないのかとも考えさせられます。市街の景観ひとつとってもここ数年で一番綺麗に整備されていました。たくさんの路上生活者や不法占拠して暮らしていた人達の姿が激減していました。街の浄化作戦が政府主導のもと行われ、たくさんのスラムが解体され不法占拠とはいえ長年暮らしていた場所を一瞬にして退去させ街の浄化を進めているそうです。それらの甲斐あってかフィリピンの景気は上昇しているそうです。しかし、問題はこれだけでは解決しません。景気の上昇はより一層の貧富の差を生み、経済的に貧しい人達は更に苦しい生活を虐げられるようになるのです。今回我々が訪れた来年度活動エリアもまさにそれらの歪を集中的に受けている地区でした。

無数に張り巡らされた細い路地、今にも崩れそうな住居が上に上にと連なっています。何故なら非常に狭いエリアに他所から追いやられた住民たちが家を作るには誰かの家の上に張りぼての家を作らなければならないからです。汚水が流れ、悪臭が立ち込める路地を子供たちは無邪気に裸足で歩いています。所々家から電気の光がもれてきます。家の中を覗くと、三畳ほどの狭い部屋で家族が楽しそうにテレビを見ています。勿論この電気も町の中から住民たちが違法に引いてきたものです。日本人には到底考えられない世界がそこにはあり、子供たちが楽しそうにはしゃぎ回るこのスラムもまた「麻薬」や「犯罪」の温床になっていると思うと複雑な気持ちになります。

住民たちに「歯の治療をしたことがありますか?」と尋ねると、皆口々に「高くて受けたことがない」と答えます。「歯ブラシで歯を磨いていますか?」と聞くと「やったことがない」「何年も同じ歯ブラシを使っている」と答えます。そして皆一様に「是非、治療してほしい」「必ず来てください」と懇願します。スラムに流れる川の向こう側には沢山の高層ビルが立ち並びます。経済成長の裏にはいつの時代もこのスラムの人たちのように社会的に最も弱い人たちが更なる貧困の歪を受けなければなりません。しかし、その中でも貧しさを互いに助け合い、今を陽気に一生懸命生きる彼らの笑顔は、私たち日本人が失ってしまった何かを思い起こさせます。

あるスラムの子供に将来の夢を尋ねました。すると彼女は「私の夢は15歳まで生きること」と答えました。その地域では貧困のため3人に1人しか15歳まで生きることが出来ないのです。

どうか皆さん、「生きることが夢」と語る幼い彼らの笑顔のために今後ともハローアルソン・フィリピン医療ボランティアに御協力の程宜しくお願い致します。

 


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ハロアル新聞9月号より

(2017年9月1日 10:58 AM更新)


「平成29年夏」

今年も早いもので9月になりました。我が国では旧暦9月を長月(ながつき)と呼び、現在では新暦9月の別名としても用いています。長月の由来は、「夜長月(よながつき)」の略であるとする説が最も有力であり、他に「稲刈月(いねかりづき)」が「ねかづき」となり「ながつき」となったという説や、「稲熟月(いねあがりづき)」が略されたという説もあるそうでまた、「寝覚月(ねざめつき)」の別名でもあるとのことです。

さて、今年の夏は皆さんいかがでしたか。東京の8月は前半ほとんどが雨でしたね。全国で見ても各地で大雨や洪水、異常気象がこれだけ毎年のように続くと単に天災で片づけることはできません。これらは、現代に暮らす我々が自分たちの欲望のままに生き、自然を壊し続けてきた、まさに人類のもたらした人災であると思うのですが皆さんはどう思われるでしょうか。

お盆休みに私は数日家族で実家のある兵庫県に帰省して参りました。最近では実家に帰っても家でのんびりすることが増えていたのですが、久しぶりに幼馴染たちと酒を酌み交わし、時間を忘れ深夜に及ぶまで昔話で盛り上がり楽しい時間を過ごすことが出来ました。家族ともどこへ出かけるでもなくゆっくり過ごすことが出来ました。本当に何気ないそんな時間が幸せなんだなぁと感じるようになりました。

8月16日、東京へ戻り私はどうしても子供たちを連れて行きたい場所がありました。それは千代田区九段にある靖国神社です。戦後72年目を迎える今年、初めて子供たちを連れ靖国神社を参拝して参りました。連日ニュースで北朝鮮のミサイルの問題や様々な近隣諸国との外交問題、いつのまにかミサイルが飛んできたときの避難を促す政府によるCMまでが流れる時代になってしまいました。ある日、5歳になる娘が「お父さんミサイルってなに?」と尋ねた時がありました。私は一瞬何と答えたらいいのか、言葉が見つけられませんでした。戦争を知らない子供たちに育てられた私たちが親になり、そしてその子供たちに戦争の愚かさ、悲惨さ、罪、などをどうやって教えていけばよいのか、また私たち日本人の今日の平和、幸せな暮らしを送れるのは誰のお陰であるかを教えたかったのです。拝殿の前に立ちそれなりに頭を垂れる娘を見ながら国のために命を賭した246万柱を超える英霊たちに心から感謝の哀悼を捧げる。

靖国神社は軍国主義の象徴だとか、右傾化の代名詞のように思われがちだが、この神社の成り立ち、歴史、そして意義を学び、理解すれば、靖国神社の存在ほど平和を愛し平和のために何をしなければいけないのかを考えさせられるものはないと思う。

拝殿の隣には「遊就館」というところがある。ここには日本国の歴史を伝える様々な資料が展示されており、その中でも国の為に亡くなった英霊の遺品には、周囲の空気が一変するような神聖な空間が存在する。私はたくさんの遺品を拝観させていただきましたが、特に未だ20歳前後の若者たちが残していった愛する者への「遺書」は涙無くして読むことは出来ませんでした。一言、一言、その凛とした文字、全ての「私心」を捨て守るべきものの為に死する「公心」の言葉は、何不自由なく暮らし、利便性、便利性を追い求めた現代社会に生きる若者たちの目にどう映るのか。

彼等が命を懸けて守ろうとしたものは何か…親が子を殺し子が親を殺す、そんな今の時代を彼らはどんな風に見ているだろうか。

遊就館にある様々な遺品の一つに「花嫁人形」がある。これは独身のまま散華した英霊たちへ、ご遺族がせめて「花嫁人形だけでも」と捧げられたものだ。静寂たる展示室に白無垢姿や色艶やかな着物を着た花嫁人形の隣には、若くして亡くなった我が子へ、兄へ、弟へ、ご遺族が送った手紙が添えられている。私はその手紙を拝読しながら、あまりにも無情な戦争という狂気の時代を恨むと共に、20代の若者が女性の手を握ることもなく、妻もめとることもなく死んでいったかと思うと、胸を突き刺すような思いにただ涙が零れる。花嫁人形の中に「桜子」と名付けられた人形がある。これは23歳の若さで戦死した息子に母親が贈ったものだが、そのお手紙の一節にこう綴られている。「貴男は本当に偉かった。日本男児と生まれ妻も娶らず逝ってしまった貴男を想うと涙新たに胸が詰まります。今日ここに日本一美しい花嫁の桜子さんを貴男に捧げます。」残された母親の心中は察するに余りあり、ただ涙が溢れる。靖国神社は決して戦争美化、軍国主義の象徴などではない。数千人を超えるあまりにも幼い若者たちの遺影、そして死を前にして綴る遺書、これこそが「もう二度と戦争を起こしてはならない」「あの悲惨な時代を繰り返してはならない」という平和の尊さを学ぶ神聖な場所ではないかと思う。

生と死の究極の葛藤の中、72年前、若者たちは神々しいまでの見事な文字と一言に魂を込めました。それはたとえ我が身が滅びようとも未来永劫、この国を守り抜いた自分たちに今の私たちが決して無駄ではなかったと思える国作りを託したのではないでしょうか。

静かな境内を無邪気に笑い声をあげながら走り回る娘たちの姿に「これが平和なんだ」「これが幸せなんだ」と心に強く感じました。こんな時代だからこそ私たちはもう一度平和について考えなければならないと思う。世界は一つ、誰かの不幸の上に成り立つ幸せなど存在しないということを・・・


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